コロナでJR東海ツアーズをキャンセルしようとしたら大変だった

今回のコロナ罹患にともなって、JR東海ツアーズのキャンセル手続きをしました。
ただ、このキャンセルにあたって結構むちゃくちゃなフローというか、未だにコロナ禍を想定していないかのようなバグ運用がされており、向こうの対応もそこそこ無理があったので、記録として書いておきます。
結論としては所定の取消料を引いて返金されてはいます。

1.コロナ時代に適応できていないルール
まず、よくある質問から引っ張ってきますが、今回のキャンセルについては既にきっぷを含むクーポン券類を受け取り済みであったため、以下に該当しました。

往路列車出発時刻までに、お買い求めの販売店への連絡とクーポン券類(JR乗車票を含む)の返却をお願いします。
「お買い求めの販売店が休業日もしくは営業時間外のため往路列車出発時刻までに連絡ができない場合」および「連絡はできてもクーポン券類(JR乗車票を含む)の返却ができない場合」は、お客様自身で下記①~③の取消し手続きを行ってください。取消手続きをされなかった場合は、一切の返金を受けられないことになりますのでご注意ください。
① JR乗車票は、往路列車出発時刻までに、最寄りのJR駅窓口もしくはJR東海ツアーズの店舗にて係員より往復とも「取消証明」を受けてください。便・列車の指定がない場合でも「旅行中止証明」を受けてください。※「取消証明」及び「旅行中止証明」は払戻しを確定するものではありません。
② 宿泊施設やレンタカー、食事箇所などの取消しを各利用施設にご連絡ください。
③ お買い求めの販売店の休業日明け又は営業開始後直ちに、取消の旨ご連絡をお願いします。
売店がお客様から取消のご連絡を受けた時が、取消料の適用基準日となります(ただし、往路列車出発時刻までに、クーポン券類(JR乗車票を含む)の返却またはお客様自身での取消手続きを行った場合に限ります)。
・払戻しは、出発日から1ヶ月以内にお買い求めの販売店で承ります。
・払戻しにはぷらっと旅程表を含むすべてのクーポン券類(JR乗車票を含む)が必要となります。
・お客様の任意による出発後の一部取消しは未使用であっても払戻しは一切できません。
【フリープラン】クーポン券類(JR乗車票を含む)を受取り後に、取消しや変更をしたい場合、クーポン券類 | よくあるご質問 │ JR東海ツアーズ

連々と書いていますが、まず「往路列車出発時刻までに」「販売店への連絡」と「クーポン券類の返却」が求められています。
しかし「連絡」はできますが「返却」は郵便局にも行けませんのでできません。そうするとその後の「連絡はできてもクーポン券類(JR乗車票を含む)の返却ができない場合」にまさに該当して、「①~③の取消し手続き」を自分でするということになります。

ただ残念なことにこれもまたできない注文となっています。
①は要するに出発時刻前に駅・窓口・店舗に行けということです。出発日までに外出できる余地がそもそもありませんので、これはできません。
ということで詰んだので問い合わせを投げました。

2.クーポン券類返送問題は解決
問い合わせた結果、
・クーポン券類の返送は出発日から1ヶ月以内に着けばOK
ということが確認できました。なので、発送自体は自宅待機明けてからでいいわけですね。

一方で、「取消証明」はやはり必要で、誰かに依頼できないか?というような回答でした。無理だから聞いてんだよな。
ということで返しましたが、翌日になっても返答が来ないのでダメ元でコールセンターに電話するとなんとつながったので、確認。
対応中でメールで返すということでしたが、一応取消料がいくらになるかについては最初の問い合わせ日基準ってことでいいんだよね?という言質は取っておきました。対応遅延されて取消料上げられたらかなわんからね。

3.無茶振り、再び
このときの回答が一番ひどかったです。
ざっくり書くと
「取消証明」がないと返金しません。
「取消証明」ができない場合は、こちらで取消処理をするので出発日の前日18時までに返送してください。
とのこと。
いや、その「返送」がそもそもできないって話を前にしたよな?引き継ぎちゃんとしろ?

さすがに付き合いきれんなと思いつつ、
・そもそも出発前に返送ができないから無理
・取消証明の有無にかかわらず、所定通りの返金をすることを確約しろ
・WEB上での取消操作はやっても良いのか?
・クーポン券類一式はあるから返送自体は約束できるぞ
・取消証明云々はそもそも正式な説明・書面に含まれてないから、返金可否につなげる言い分はおかしい
という話を送りつけました。

実は最初から「取消証明」というのが結構怪しいポイントになっているなーと思っていたのでちょいちょい質問にも混ぜていました。

4.取消証明ないと返金しないってそもそもあり?
残念ながらこれは明確な回答を最後までされなかったのでわかりません。
取消証明、つまり「出発時刻までに」「取消証明を受けてから」「返送されないと返金しない」という注文はなにものか?という点です。

実運用としてはよくわかる話で、既に抑えている(旅程保証)新幹線の座席をキャンセルするということが必要になるわけですが、それが本来であれば駅の窓口等まで切符を持っていけばサクッと済むわけです。
これをやらないと、使われることのない席が売れたままになっており、機会損失になります。JRからすれば空席に戻してなければ売れているのと同じですので、旅行会社はJRにお金は満額払わないといけないでしょう。
また、いずれ返送するという話になっているにせよ、手元に使用できる切符があるということなので、悪い考え方をすればそれを使うこともできてしまいます。
なので、出発時刻までに取消証明を受け、JR側で空席に戻される、一度売ったきっぷを無効化するという処理が必要なわけです。

まあそれはそうなんですが、無理なものは無理なので無理というやつです。

ということで、そもそもこの取消証明をしてなかったら返金しない!という条件、本当に有効か?という点を突っ込んでおくことにしました。
なぜなら旅行は契約(今回であれば国内募集型企画旅行)なので、旅行条件書や契約時に電子書面(旅行者が電子に同意しなければ物理的な書面になります)にあることが全てです。
改めてそういった書面に目を通す限りでは、「取消証明」という点は実は触れられていません。

旅行条件書第15項「旅行開始前の解除」では、

お客様はパンフレット又はホームページに記載した取消料をお支払いいただくことにより、いつでも旅行契約を解除することができます。
ご旅行条件書(国内募集型企画旅行)|新幹線のお得なツアーはJR東海ツアーズ

とあります。つまり取消に必要なのは「取消料」であって、所定通り支払えばいつでも解除することができるのです。

また、契約時交付書面にあたる電子書面(メール)では、

クーポン券類(JR乗車票を含む)お受取後の変更・取消および列車の運休・遅延による払い戻し等には、お受取いただいた全てのクーポン券類(JR乗車票を含む)のご返送が必要です。(ご返送料はお客様のご負担となります。)

とあるのみです。
ここでクーポン券類を返送する、という要件については(期限は指定されていませんが)触れられており、これはきちんと守るべきですが、その前に「取消証明」を取らないとダメだ、というような文言は出てきません。
なお、今回のやり取りの中で、旅行条件書・契約時交付書面には書いていないということまでは言質が取れています。


ではどこに書いてあるのか?というと冒頭の「よくある質問」であったり、クーポン券類に同封されている「ご旅行にあたってのご案内」や、実際にWEB上で取消手続きをしようとしたときに出てくるもので、逆にいえばその程度の文言に過ぎないのです。
これでは契約前説明および契約時交付する書面に含まれているとは言えず、返金しないというような著しく不利な結論には持っていけないだろうというのが私の考えでした。
冒頭書いた通り、結局この点については土日にいるスタッフでは回答できないようで、○日以降に確認して返答すると返ってきたものの、現在に至るまで詳細な回答はされていません。


5.所定通りの返金で決着
さて、3.のメールへの返信は割とすぐ来たのですが、WEBの取消操作はしてよい、ということ以外に情報量は無く、後日回答しますということでした。
そして数日後、メールではなく電話で対応がされ、所定通り30%の取消料を引いて、返金しますということでした。
これはまあ当然のことですし、要求通りなので問題ないのですが、取消証明云々は契約としてどうなのかという回答はされず、とにかく返金するのでクーポン券類は1ヶ月以内に返送をお願いしますという一点張りで、全く誠実ではないなーという感想で終話しました。

メールでなにか追加が来るかな?と思いましたが、以降JR東海ツアーズからの連絡は来ずに、療養期間が終わりまして、予定通り返送して払い戻し処理が済んだところまで確認してこの記事を書いているというところです。


6.おわりに
コロナの症状自体もある程度で済み、問い合わせも突っ込んだのでなんとかなった感はありますが、「取消証明を取ってこないと返金しない」とか初手で案内されると諦める人もいそうだなという印象です。
正直、療養中のちょうどよいリハビリというか暇つぶしであったことも事実ですし、コロナ禍におけるこういうバグを楽しく処理するタイプの人間なのでいいですが、もっと症状重かったら無理ですし厳しかったですね。

根本的には、この第七波において、政府が行動制限をしないという立場で、旅行会社をはじめとしていわゆる「特別対応」のトリガーが引かれていないというのが理由だと思います。
過去の流行時期では、何らかの宣言等が出ていて、その適用地域に応じて無手数料キャンセル・変更等を認めてきました。ですので、過去の流行時にはJR東海ツアーズもこういった些末な決まりを飛び越えて、適用地域に入っている?じゃあ全額払い戻しますね、で済んでいたと思うのです。
しかし今回はそうではなく通常通りの運用になっており、かつ当事者が陽性者であるということで、物理的な切符をやり取りするという場面でデッドロックが起きてしまったのだと思います。

とはいえ、流行開始から既に2年以上が経過して、未だにそういうことを想定していないルールを運用し続け、消費者が一方的に損をするというのもよくないと感じたので、今回ブログにしておけばなんか見る人もいるかもなという感じで書いてみました。